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次の 3 件のリスクを、発生確率 × 影響額(期待値)で優先順位付けせよ。A: 確率 10%・影響 500 万円、B: 確率 40%・影響 100 万円、C: 確率 70%・影響 20 万円。

A(50 万円)→ B(40 万円)→ C(14 万円)の順になる。

期待値は A = 0.1 × 500 = 50 万円、B = 0.4 × 100 = 40 万円、C = 0.7 × 20 = 14 万円である。 最も起こりやすい C が最下位になり、確率だけ、影響だけで並べた順とは異なる。両方を掛け合わせて判断する。

リスク登録簿と問題点管理表のどちらに載せるか。(a)「主要メンバーが来月退職するかもしれない」、(b)「主要メンバーが今日退職した」。

(a) はリスク登録簿、(b) は問題点管理表に載せる。

(a) は起こるかどうか不確実な事象なのでリスクであり、確率と影響を評価して対応策を用意しておく。 (b) はすでに起きた事柄で、不確実性が無いので問題として扱い、担当と期限を決めて解決まで追跡する。 (a) が現実になったときは、リスク登録簿の状況を更新し、問題点管理表に移して対処する。

リスク登録簿をプロジェクトの終結まで更新し続けるのはなぜか。

リスクの発生確率や影響は状況の変化で変わり、新たなリスクも生まれるため、最新の状態でなければ優先順位と対応策の判断を誤るからである。

また、どのリスクに何をして結果がどうだったかの記録は、終結時に得た教訓の材料になり、以後のプロジェクトのリスク特定にも使える。

リスク登録簿は、特定したリスクの内容・原因・影響・発生確率・対応策・担当者・状況を一覧にした記録で、リスクの特定で作られ、プロジェクトの終わりまで更新される。優先順位付けされたリスクは、リスクの評価で発生確率と影響から重要度の順に並べたもので、どのリスクから対応策を講じるかを決めるリスクへの対応のインプットになる。

リスクの主要なインプット・アウトプットと、それを主に作るプロセス・主に使うプロセス(JIS Q 21500 の枠組み)

文書・情報何か主に作るプロセス主に使うプロセス
プロジェクト全体計画各対象群の計画とマネジメントの進め方全体計画の作成(統合)リスクの特定、対応、管理
リスク登録簿特定したリスクとその属性・対応・状況の一覧リスクの特定リスクの評価、管理(更新)
優先順位付けされたリスク発生確率と影響から重要度順に並べたリスクリスクの評価リスクへの対応
リスク対応策各リスクに対する戦略・具体策・担当者リスクへの対応リスクの管理、作業の指揮
変更要求対応策の実施などで計画を変えたいという正式な要求リスクへの対応、管理変更の管理(統合)
是正処置計画を変えずに実績を計画に近づける処置リスクの管理作業の指揮

リスク登録簿の例

リスク確率・影響対応(戦略)状況
主要メンバーの退職(脅威)中・大引継ぎ資料を整える(軽減)、担当 PM対応中
部品の早期納入(機会)低・中前倒しの作業順を用意(活用)、担当調達監視中

リスク登録簿は、リスクの特定で洗い出したリスクを記録し、以後のリスクのプロセスで共有する一覧である。 特定の時点では、リスクの内容、原因、発生したときの影響、兆候(トリガ)、脅威か機会かを記入する。 その後、評価で発生確率・影響・優先度が加わり、対応で対応戦略・具体策・担当者(リスクオーナー)が加わり、 管理で状況(未発生・対応中・発生済み・消滅など)が更新されていく。

1 つの文書がプロセスを通じて育っていくのがリスク登録簿の特徴で、リスクのプロセスはこれを中心に回る。 リスクが消滅したり期限を過ぎたりしたものも、削除せずに状況を「クローズ」として残すのが一般的で、得た教訓の材料になる。

優先順位付けされたリスクは、リスクの評価で、リスクごとの発生確率と影響の大きさを分析し、重要度の順に並べたものである。 対応に使える資源は限られるため、これを基にどのリスクに優先して対応策を講じるかを決める。

優先度の付け方には主に 2 つある。

  • 定性的な付け方 — 発生確率と影響を「高・中・低」などの尺度で評価し、確率と影響を組み合わせた表(確率・影響マトリックス)で位置づける。 右上(確率も影響も大きい)のものほど優先度が高い
  • 定量的な付け方 — 発生確率 × 影響額で期待値(期待金額価値)を求め、金額の大きさで並べる

問いの例のように、確率だけ、影響だけで並べると判断を誤る。確率が低くても影響が極端に大きいリスクは、期待値が小さくても個別に検討することがある。

確率・影響マトリックスの例(3 段階の場合)

発生確率 \ 影響小中大
高中高高
中低中高
低低低中

マス目の「高・中・低」が優先度で、どのマスをどの優先度にするかは、組織やプロジェクトがリスクをどこまで許容するかによって事前に決めておく。 優先度が低いと判断したリスクも捨てずに、監視リストとしてリスク登録簿に残し、状況の変化に応じて評価し直す。

インプット・アウトプットのつながり

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リスクのプロセスは、次の順にアウトプットが次のインプットになる。

  1. 全体計画や過去の教訓を基に、リスクの特定がリスク登録簿を作る
  2. リスクの評価がリスク登録簿を基に、優先順位付けされたリスクを作る
  3. リスクへの対応が優先順位付けされたリスクを基に、対応策を決め、必要なら変更要求を出す
  4. リスクの管理が対応の効果と新たなリスクを監視し、リスク登録簿を更新し、是正処置や変更要求を出す

是正処置は、ベースラインを変えずに今後の実績を計画に近づける対応で、ベースラインを変える必要があれば変更要求を出す。 ただし体系によっては(PMBOK 系など)、是正処置も変更要求の一種として扱い、変更の管理を通して承認を得てから実施する。

  • リスク登録簿はリスクの特定のアウトプット、優先順位付けされたリスクはリスクの評価のアウトプットである(JIS Q 21500 の扱い)
  • リスク登録簿は一度作って終わりではなく、評価・対応・管理を通じて更新し続ける
  • 優先順位は発生確率と影響の両方で決める。期待値の計算は「確率 × 影響額」
  • 起きていない事柄はリスク登録簿、起きた事柄は問題点管理表である