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ソフトウェアや技術情報を国外の相手に提供する場合、外為法のどちらの条が関わるか。

第二十五条第一項(役務取引等)の側である。第四十八条第一項は「貨物の輸出」を対象にしているのに対し、 第二十五条第一項は、政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(特定技術)を 特定の外国(特定国)において提供することを目的とする取引や、 特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を対象にする。 どちらも経済産業大臣の許可を受けなければならない。

許可の対象になる貨物・技術は、条文から具体的に分かるか。

分からない。第四十八条第一項も第二十五条第一項も、対象を 「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の……」という形で 書いており、具体的な地域・貨物・技術は政令に委ねられている。

外国為替及び外国貿易法は、対外取引が自由に行われることを基本とし対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律で、第四十八条第一項が国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出に経済産業大臣の許可を求め、第二十五条第一項が同じ絞り込みのもとで政令に定める特定技術を特定国において提供することを目的とする取引や特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引にも同じく許可を求めており、規制が貨物と技術の提供の二本立てになっている。

外為法の 2 つの許可

観点第四十八条第一項(輸出の許可等)第二十五条第一項(役務取引等)
対象特定の種類の貨物の輸出特定技術(政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術)の提供を目的とする取引
場所・相手の要素政令で定める特定の地域を仕向地とすること特定国において提供すること、または特定技術を特定国の非居住者に提供すること
名宛人輸出をしようとする者取引を行おうとする居住者若しくは非居住者(特定国の非居住者への提供の場合は居住者)
必要な手続経済産業大臣の許可経済産業大臣の許可
具体的な範囲国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める

目的規定が置いている 2 つの原則

Section titled “目的規定が置いている 2 つの原則”

第一条は「この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、 対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は 国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに 我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と述べる。

「自由に行われることを基本とし」と「必要最小限の管理又は調整を行う」という 2 つが目的規定に明記されている。 以下の許可制をこの目的規定の中でどう位置づけるかは、条文には書かれていない。

貨物の輸出(第四十八条第一項)

Section titled “貨物の輸出(第四十八条第一項)”

第四十八条第一項は「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める 特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、 経済産業大臣の許可を受けなければならない」と定める。

条文が絞っているのは、(1) 政令で定める特定の地域を仕向地とすること、 (2) 特定の種類の貨物であること、の 2 点である。どちらも政令に委ねられているため、 どの国向けのどの品目が対象になるかは、この条文だけでは分からない。

技術の提供(第二十五条第一項)

Section titled “技術の提供(第二十五条第一項)”

第二十五条第一項は、国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める 特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術 (この法律ではこれを「特定技術」という)について、次の 2 つの取引を許可の対象にする。

  1. 特定技術を特定の外国(特定国)において提供することを目的とする取引を行おうとする 居住者若しくは非居住者。
  2. 特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者。

2 の形があることで、技術を国外に持ち出さなくても、国内で特定国の非居住者に提供する取引が 許可の対象になり得る書き方になっている。 プログラムや技術情報のように物として輸出されないものが問題になるのは、この条の側である。

第四十八条第一項と第二十五条第一項を並べると、外為法の規制が貨物と技術の提供の 2 本立てで置かれていることが分かる。

シラバスの用語例は「CEマーク」「RoHS指令」「外国為替及び外国貿易法(外為法)」「米国輸出関連法」を 挙げている。このうち日本の法令として条文を確認できるのは外為法である。 残る 3 つは日本の法令ではないため、法令の条文としては確認できない。 この細目ではシラバスがこれらの語を挙げていることを押さえ、 内容は外為法の条文で確認できる範囲と切り分けて扱う。

第一条が「自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行う」という立て方を していることは、第四十八条第一項・第二十五条第一項がいずれも対象を 「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める」ものに 絞っていることと対応していると読める(条文がそう述べているわけではない)。 また、目的規定が「我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し」と述べていることは、 2 つの許可の条文が同じ「国際的な平和及び安全の維持」という文言を対象の絞り込みに使っていることと 結びついていると読める(条文がそう述べているわけではない)。

ただし、対象の具体的な範囲を政令に委ねることとした理由は、これらの条文には書かれていない。