コンテンツにスキップ
不正のトライアングル理論は、人が不正を働くのはどういうときだとしているか。IPA NEWS はそこから、内部不正を防ぐには何が大切だとしているか。

「動機・プレッシャー」「機会」「正当化」という 3 つの要素が揃ったとき である。 IPA NEWS は、内部不正を防ぐには この 3 つの条件を低減させることが大切 だとしている。

内部不正防止ガイドラインの 5 つの基本原則は、何の考え方を応用したものか。その考え方は、何を主眼として犯罪機会・動機を低減するとされているか。

状況的犯罪予防 の考え方を内部不正防止に応用したものである。 ガイドラインの脚注は、状況的犯罪予防を、監視者の設置などによって外部からのコントロールが可能な 「環境」 を 適切に定めることを主眼として、犯罪機会・動機を低減し、予防する犯罪予防策だと説明している。

IPA NEWS が挙げる 5 つの基本対策のうち、説明に「正当化させない」とあるのはどれか。ガイドラインの 5 つの基本原則のうち、説明に「正当化」の語を含むのはどれか。

IPA NEWS では「(4) ルール化と周知徹底」で、説明は「犯行の言い訳をさせない、正当化させない。」である。 ガイドラインでは「犯罪の弁明をさせない(言い訳させない)」で、説明は「犯行者による自らの行為の正当化理由を排除する」である。

不正のトライアングル理論では動機・プレッシャー、機会、正当化の 3 要素が揃ったときに人は不正を働くとされ、IPA の内部不正防止ガイドラインは状況的犯罪予防の考え方を応用した 5 つを内部不正防止の基本原則としている。

基本原則(ガイドライン 2-1)ガイドラインの説明IPA NEWS の基本対策とその説明(語の重なりでこのノートが並べた)
犯行を難しくする(やりにくくする)対策を強化することで犯罪行為を難しくする(1) アクセス権管理:犯行をやりにくくする、難しくする。
捕まるリスクを高める(やると見つかる)管理や監視を強化することで捕まるリスクを高める(3) ログの記録:犯行が見つかるようにする、捕まる可能性を高める。
犯行の見返りを減らす(割に合わない)標的を隠したり、排除したり、利益を得にくくすることで犯行を防ぐ(2) コピーやメール・ウェブの制限など情報持ち出しの困難化:犯行の見返りを減らす、割に合わないようにする。
犯行の誘因を減らす(その気にさせない)犯罪を行う気持ちにさせないことで犯行を抑止する(5) 職場環境の整備:犯行の誘因を減らし、その気にさせない。
犯罪の弁明をさせない(言い訳させない)犯行者による自らの行為の正当化理由を排除する(4) ルール化と周知徹底:犯行の言い訳をさせない、正当化させない。

行の順はガイドラインの並び、右端の番号は IPA NEWS の並びである。右端の列は、IPA NEWS の説明の言い回し(「犯行をやりにくくする」「犯行の見返りを減らす」「犯行の誘因を減らし」「犯行の言い訳をさせない」など)が基本原則の名前と重なるものを、このノートが同じ行に置いた。基本原則と基本対策の対応を示す文は、台帳に記録した範囲のどちらの資料にも無い。

シラバスは、この細目で「不正行為が発生する要因」と「内部不正による情報セキュリティ事故・事件の発生を防止するための環境整備の考え方」を理解するとしている。 用語例は、不正のトライアングル(機会,動機,正当化)、状況的犯罪予防、割れ窓理論、防犯環境設計の 4 語である。 シラバスは、どの用語例が要因に、どれが環境整備に当たるかを書き分けていない。

IPA NEWS(2023 年 12 月号)は次のように述べている。

「不正のトライアングル」理論によれば、人が不正を働くのは「動機・プレッシャー」「機会」「正当化」という3つの要素が揃ったときとされています(下図を参照)。内部不正を防ぐには、この3つの条件を低減させることが大切なのです。

要素の表記は資料によって違う。シラバスは「機会,動機,正当化」の順で書き、 IPA NEWS は「動機・プレッシャー」「機会」「正当化」の順で、動機に「プレッシャー」を添えている。

同じ記事は、この段落に続けて「基本の対策は次の5つです。」とし、図の表の右端の 5 つを挙げている。

状況的犯罪予防と内部不正防止の基本原則

Section titled “状況的犯罪予防と内部不正防止の基本原則”

IPA の「組織における内部不正防止ガイドライン」(第 5 版)は、2 章で 「本ガイドラインは、状況的犯罪予防の考え方を内部不正防止に応用し、以下の5つを基本原則としています。」と述べ、 図の表の左端の 5 つを挙げている。

同じページの脚注は、状況的犯罪予防を次のように説明している。

犯罪学者のCornish & Clarke(2003)が提唱した都市空間における犯罪予防の理論。犯罪予防対策を実施すべき5つに分類し、更に25の犯罪予防技術に細分化しています。監視者の設置などによって外部からのコントロールが可能な「環境」を適切に定めることを主眼として、犯罪機会・動機を低減し、予防する犯罪予防策であり、直接的に犯罪を防止する対策及び間接的に犯罪を防止及び抑止する対策を含んでいます。

5 つの基本原則をそれぞれ更に 5 つに細分化したものと、その対策例が、ガイドラインの付録Ⅵにまとめられている(脚注 5)。

ガイドラインが視野に入れている範囲

Section titled “ガイドラインが視野に入れている範囲”

ガイドラインは内部不正の 防止 を主眼としつつ、対策に努めてもなお内部不正が発生してしまうことを考慮し、 その後の「早期発見」と「拡大防止」も視野に入れている(2 章 概要)。

不正のトライアングルと基本原則の関係

Section titled “不正のトライアングルと基本原則の関係”

ガイドラインの本文には「トライアングル」の文字列が無い。 語の上では、脚注 4 の「犯罪機会・動機を低減し」が 3 要素のうち機会と動機に当たる語を含み、 5 つ目の基本原則の説明「犯行者による自らの行為の正当化理由を排除する」が正当化に当たる語を含む。 3 要素と 5 原則の対応を、ガイドラインは述べていない。

次はいずれもこのノートの根拠に含まれていない。

  • 割れ窓理論・防犯環境設計の中身
  • 付録Ⅵの 25 分類の中身、および脚注 4 の「25の犯罪予防技術」と付録Ⅵの「25分類」の関係

名前から内容を推測して書くことは spec.md §8.1a に反する。

関連