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この法律が定義する「製造物」と「欠陥」は何か。ソフトウェアそのものはどう扱われるか。

第二条第一項は「製造物」を製造又は加工された動産と定義する。 第二項は「欠陥」を、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した 時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることと定義する。 定義は「製造又は加工された動産」であり、シラバスの説明文も 「欠陥があるプログラムを組み込んだハードウェアの使用などによる損害に対して適用される」と書いている。

製造業者等が賠償責任を免れるのは、どんな場合か。誰が何を証明するのか。

第四条により、製造業者等が次の各号に掲げる事項を証明したときに責任を免れる。 第一号は、当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、 当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。 第二号は、当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が 専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、 その欠陥が生じたことにつき過失がないことである。証明の負担は製造業者等の側にある。

製造物責任法は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定める法律で、「製造物」を製造又は加工された動産、「欠陥」を当該製造物の特性・通常予見される使用形態・引き渡した時期その他の事情を考慮して当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることと定義し、第三条本文が製造業者等に製造・加工・輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であってその引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときの賠償責任を負わせ(ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない)、第四条が製造業者等の側が証明したときの免責事由を二つ置いている。

条の並びと、それぞれが定めていること

条定めていること条文上の要点
第一条目的製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図る
第二条第一項製造物製造又は加工された動産
第二条第二項欠陥事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること
第二条第三項製造業者等業として製造・加工・輸入した者(第一号)、自ら製造業者として、又は製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者(第二号)、実質的な製造業者と認められる表示をした者(第三号)
第三条製造物責任製造・加工・輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したとき、損害を賠償する責めに任ずる(ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない)
第四条免責事由製造業者等が証明したときに責任を免れる 2 つの場合
第五条消滅時効損害及び賠償義務者を知った時から三年(生命・身体は五年)、引き渡した時から十年(第三項が挙げる損害は損害が生じた時から起算)

第二条第一項の「製造物」は製造又は加工された動産である。第二項の「欠陥」は、 当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期 その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。 考慮すべき事情が定義の中に列挙されており、引き渡した時期が入っている点は、 第四条第一号の免責事由(引き渡した時における科学又は技術に関する知見)と対応している。

第三項の「製造業者等」は 3 つの類型からなる。

  1. 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(第一号。この法律ではこれを「製造業者」という)。
  2. 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(氏名等の表示)をした者、 又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者(第二号)。
  3. 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、 当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者(第三号)。

自社で作っていなくても、輸入した者や、自社の名前を表示した者が「製造業者等」に含まれる形になっている。

第三条本文は「製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした 製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、 これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」と定める。 責任の対象になる製造物は、製造・加工・輸入をしたものと、 前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をしたものであり、 第二条第三項の 3 つの類型がそのまま引き継がれている。そのうえで、その引き渡したものであること、 欠陥があること、他人の生命、身体又は財産を侵害したことが要件として並ぶ。

同条にはただし書が置かれており、「ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、 この限りでない」とする。損害が欠陥のある製造物それ自体にとどまる場合は、 この条の賠償責任の対象から外れる書き方になっている。

第四条は、製造業者等が各号に掲げる事項を証明したときに、第三条に規定する賠償の責めに任じないとする。

  • 第一号: 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、 当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
  • 第二号: 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が 専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、 かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。

第二号は「専ら」と「かつ」で条件を重ねており、指示に従ったというだけでは足りない書き方になっている。

第五条第一項は、第三条の損害賠償の請求権が時効によって消滅する場合を 2 つ挙げる。 被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行使しないとき(第一号)と、 その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したとき(第二号)である。

第二項は、人の生命又は身体を侵害した場合の第一号の適用について「三年間」を「五年間」と読み替える。 第三項は、第一項第二号の十年の期間について、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害、 または一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、 その損害が生じた時から起算するとする。起算点が引渡しの時ではなく損害の発生時に移る例外である。

第一条は、この法律が製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における 製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、 もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするとしている。 被害者の保護が目的として最初に置かれていることは、第三条が製造業者等の責任を定め、 第四条が免責を主張する側(製造業者等)に証明を求める形になっていることと対応していると読める(条文がそう述べているわけではない)。

ただし、第四条が免責事由としてこの 2 つを挙げていることの理由や、消滅時効の期間をこの長さに定めた理由は、 これらの条文には書かれていない。