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この法律で「委託事業者」に当たるかどうかは、何によって決まるか。取引の内容によって基準は変わるか。

第二条第八項が、法人たる事業者について、資本金の額もしくは出資の総額、 または常時使用する従業員の数で機械的に決めている。 基準は取引の内容によって変わる。製造委託等では資本金三億円超/千万円超三億円以下、 情報成果物作成委託・役務提供委託(それぞれ政令で定める情報成果物・役務に係るものに限る、 または除く形で号が分かれている)では五千万円超/千万円超五千万円以下という別の線が引かれ、 従業員数でも製造委託等は三百人、情報成果物作成委託・役務提供委託は百人と分かれている。

支払期日について条文は何を定めているか。支払期日を決めなかった場合はどうなるか。

第三条第一項が、検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して六十日の期間内において、 かつできる限り短い期間内に定めなければならないとする。第二項により、支払期日が定められなかったときは 受領した日が、前項の規定に違反して支払期日が定められたときは受領した日から起算して六十日を経過した日の 前日が、それぞれ支払期日と定められたものとみなされる。

中小受託取引適正化法は、委託事業者と中小受託事業者の区分を資本金額または常時使用する従業員数で機械的に定め、支払期日を給付の受領日から起算して六十日の期間内かつできる限り短い期間内に定めることと、製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないことなど七類型の行為の禁止を課す法律である。

第二条第八項・第九項が定める委託事業者と中小受託事業者の区分

号対象となる委託委託事業者の側中小受託事業者の側
一製造委託等資本金・出資の総額が三億円超個人または三億円以下
二製造委託等千万円超三億円以下個人または千万円以下
三情報成果物作成委託・役務提供委託五千万円超個人または五千万円以下
四情報成果物作成委託・役務提供委託千万円超五千万円以下個人または千万円以下
五製造委託等常時使用する従業員の数が三百人超常時使用する従業員の数が三百人以下
六情報成果物作成委託・役務提供委託常時使用する従業員の数が百人超常時使用する従業員の数が百人以下

各号の委託事業者側はいずれも「法人たる事業者」に限られており、中小受託事業者の側だけが個人を含む (第五号・第六号は従業員数で区切るため、受託側も個人と法人たる事業者の双方を含む書き方になっている)。 各号の委託事業者側には、政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く括弧書きが付いている (第五号・第六号は国も除く)。第三号・第四号の情報成果物作成委託・役務提供委託は、それぞれ第一号の政令で 定める情報成果物・役務に係るものを除いたものである。第五号・第六号にはさらに、第一号・第二号(第五号) または第三号・第四号(第六号)に該当する者が対応する相手方に委託をする場合を除く旨が置かれている。

正式な題名は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 (昭和三十一年法律第百二十号)である。シラバスはこれを「中小受託取引適正化法(取適法)」と表記している。 条文が使う当事者の呼び方は「委託事業者」と「中小受託事業者」である。

条見出しは、第一条 目的、第二条 定義、第三条 製造委託等代金の支払期日、 第四条 中小受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等、第五条 委託事業者の遵守事項、第六条 遅延利息、 第七条 書類等の作成及び保存、第八条 指導及び助言、第九条 中小企業庁長官の請求、第十条 勧告、 第十一条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係、第十二条 報告及び検査、 第十三条 委託事業者又は中小受託事業者に関する情報の提供等、第十四条以下 罰則、と並んでいる。

第二条第一項は「製造委託」を、事業者が業として行う販売・請負製造の目的物たる物品やその半製品・部品・ 附属品・原材料、それらの製造に用いる金型・木型などの成形用の型や特殊な工具、あるいは業として行う 物品の修理に必要な部品・原材料の製造を、他の事業者に委託することと定義する。 自ら使用・消費する物品の製造を業として行う場合に、その製造を他の事業者に委託することも含む。

第二条第四項は「役務提供委託」を、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部または一部を 他の事業者に委託することと定義する。ただし建設業を営む者が業として請け負う建設工事の全部または一部を 他の建設業を営む者に請け負わせることは括弧書きで除かれている。

第二条第七項は「情報成果物」を各号で列挙する。第一号がプログラム(電子計算機に対する指令であって、 一の結果を得ることができるように組み合わされたもの)、第二号が映画・放送番組その他影像または音声・音響で 構成されるもの、第三号が文字・図形・記号やこれらの結合、これらと色彩の結合で構成されるもの、 第四号がこれらに類するもので政令で定めるものである。

第二条第八項の各号のうち、第一号・第二号・第五号は「製造委託等」、第三号・第四号・第六号は 「情報成果物作成委託又は役務提供委託」という語を用いる。第一号の括弧書きは、この 2 つについて「それぞれ政令で定める情報成果物及び 役務に係るものに限る」と限定している。

委託事業者と中小受託事業者の区分

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第二条第八項は「委託事業者」を、法人たる事業者のうち資本金の額もしくは出資の総額または 常時使用する従業員の数のいずれかで区切ったうえで、その相手方が一定規模以下であることを 組み合わせて定義する(図を参照)。 第九項の「中小受託事業者」は、第八項の各号に対応する受託側として定義されており、 第一号は個人または資本金三億円以下の事業者であって第八項第一号の委託事業者から製造委託等を受けるもの、 第二号は個人または資本金千万円以下の事業者であって第八項第二号の委託事業者から製造委託等を受けるものである。

第八項・第九項はいずれも、資本金の額もしくは出資の総額、または常時使用する従業員の数という 外形的な数値を要件に置いており、各号は相手方の規模も同じ形で要件に含めている。

委託事業者に課される義務と禁止

Section titled “委託事業者に課される義務と禁止”

第四条第一項は、製造委託等をした場合に直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、給付の内容、 製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面または電磁的方法 (電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって公正取引委員会規則で定めるもの) により中小受託事業者に明示することを義務づける。

第三条第一項は支払期日を、検査の有無を問わず給付を受領した日から起算して六十日の期間内で、 かつできる限り短い期間内に定めることを求める。第二項は、支払期日を定めなかった場合と、 前項の規定に違反して支払期日が定められた場合に、それぞれ受領した日・受領した日から起算して 六十日を経過した日の前日が支払期日と定められたものとみなす。

第五条第一項は、委託事業者がしてはならない行為を七つ挙げる。 第一号は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の受領を拒むこと。 第二号は、製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、 手形を交付すること、および金銭及び手形以外の支払手段であって支払期日までに代金の額に相当する額の金銭と 引き換えることが困難であるものを使用することを含む)。 第三号は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減ずること。 第四号は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付を受領した後、中小受託事業者に その給付に係る物を引き取らせること。 第五号は、中小受託事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し 著しく低い製造委託等代金の額を不当に定めること。 第六号は、中小受託事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由が ある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。 第七号は、委託事業者についてこの条の規定に違反する事実があると認められる場合に中小受託事業者が 公正取引委員会、中小企業庁長官又はその製造委託等に関する取引に係る事業を所管する大臣に対し その事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。 役務提供委託または特定運送委託をした場合は、柱書の括弧書きにより第一号(給付の受領を拒むこと)と 第四号(給付に係る物を引き取らせること)が除かれる。

第一条は、この法律の目的を「製造委託等に関し、中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等を防止することによつて、 委託事業者の中小受託事業者に対する取引を公正にするとともに、中小受託事業者の利益を保護し、 もつて国民経済の健全な発達に寄与すること」と述べている。

目的規定が最初に挙げているのは「代金の支払の遅延等を防止すること」であり、第三条が六十日以内という 支払期日の上限を、第五条第一項第二号が支払期日経過後の不払の禁止を置いていることは、 これと対応した形になっていると読める。 また目的規定が「取引を公正にする」ことも挙げていることは、第五条第一項が支払の遅延だけでなく、 給付の受領を拒むこと、製造委託等代金の額を減ずること、自己の指定する物を強制して購入させ又は役務を 強制して利用させること、不利益な取扱いをすることまで含む七類型を並べていることと 対応した形になっていると読める。 ただし、当事者の区分を資本金額と従業員数という外形的な数値で決めることにした立法上の趣旨は、 これらの条文には書かれていない。