エンタープライズアーキテクチャの目的と考え方
シラバスは EA を何だと書いているか。
EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)は, 組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し, 業務とシステムを同時に改善することを目的とした,組織の設計・管理手法であること
「組織の設計・管理手法である」と定義が与えられている。
この 31 細目の多くは名前しか与えないが、この細目は定義を持つ。
あわせて「全体最適化を図るためのアーキテクチャモデルを作成し, 目標を明確に定めることが必要である」ことも理解する対象になっている。
四つのアーキテクチャは何に対応するか。
シラバスは「それぞれ」と書いて四つの領域と四つの名称を対応づけている。
| 順 | 領域(逐語) | アーキテクチャ(逐語) |
|---|---|---|
| 1 | 業務プロセス | ビジネスアーキテクチャ |
| 2 | 業務に利用する情報 | データアーキテクチャ |
| 3 | 情報システムの構成 | アプリケーションアーキテクチャ |
| 4 | 利用する情報技術 | テクノロジアーキテクチャ |
この表の「順」は説明文に現れる順であって、重要度でも作成の順序でもない。
対応そのものはシラバスが「それぞれ」と書いているため、 このノートの推測ではない。
説明文はどれだけの長さか。
347 字。この 31 細目で最も長い。
次に長いのは 1.(1)② 情報システム戦略の策定手順 の 193 字で、 347 字はその約 1.8 倍である。
二文からなる。この 31 細目で二文なのは 4 件である。
シラバスは EA を組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムを同時に改善することを目的とした組織の設計・管理手法であるとし、アーキテクチャモデルは業務とシステムの構成要素を記述したモデルであるとしている。四つの領域と四つのアーキテクチャ名が「それぞれ」で対応づけられている。説明文は 347 字で、この 31 細目で最も長い。
四つの領域と四つのアーキテクチャ(シラバスの並び順のまま)
| 順 | 領域(逐語) | アーキテクチャ(逐語) | その細目 |
|---|---|---|---|
| 1 | 業務プロセス | ビジネスアーキテクチャ | 1.(2)② |
| 2 | 業務に利用する情報 | データアーキテクチャ | 1.(2)③ |
| 3 | 情報システムの構成 | アプリケーションアーキテクチャ | 1.(2)④ |
| 4 | 利用する情報技術 | テクノロジアーキテクチャ | 1.(2)⑤ |
この表の「順」は説明文に現れる順であって、重要度でも作成の順序でもない。 領域と名称の対応はシラバスが「それぞれ」と書いている。 四つが四つの細目 1.(2)② から 1.(2)⑤ と同じ名前であることは、 シラバスの目次から分かる。ただし対応の理由は書かれていない。 四つのアーキテクチャどうしの上下関係は書かれていない。
説明文の二文の役割
| 文 | 主語(逐語) | 述語(逐語) |
|---|---|---|
| 一文目 | EA は | 組織の設計・管理手法であること |
| 二文目 | アーキテクチャモデルは | 業務とシステムの構成要素を記述したモデルのこと |
この表はシラバスの二文を主語と述語で切り出したものであり、 シラバスがこの見出しを立てているわけではない。 二つの語は別物として定義されている。EA が手法で、アーキテクチャモデルが成果物にあたる とは書かれていないため、そう言い換えない。
用語例 7 個(シラバスの並び順のまま)
| 順 | 用語例 | 括弧の中身 |
|---|---|---|
| 1 | ザックマンフレームワーク | — |
| 2 | 業務・システム最適化 | — |
| 3 | As-isモデル | — |
| 4 | To-beモデル | — |
| 5 | 参照モデル | — |
| 6 | EAI | Enterprise Application Integration |
| 7 | TOGAF | The Open Group Architecture Framework |
この表の「順」はシラバスの並び順であって、重要度でも扱う順でもない。 6・7 の括弧の中は英語だけで、日本語訳は付かない。訳を補わない。 7 語それぞれの意味、使い方、適用範囲はいずれも書かれていない。 As-isモデル と To-beモデル の関係も書かれていない。
この細目でのシラバスの書き方
| 項目 | 記載 |
|---|---|
| 説明文 | 二文(347 字。この 31 細目で最長) |
| 文末 | 「〜とを理解する。」 |
| 説明文の「など」 | 無し |
| 「モデル」 | 説明文に 4 回 |
| 列挙に付くラベル | 用語例 |
| 用語例の数 | 7 |
| 括弧を持つ用語例 | 2 |
シラバスが書いていること
Section titled “シラバスが書いていること”説明文は二文である。
EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)は, 組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを 目的とした,組織の設計・管理手法であること,全体最適化を図るためのアーキテクチャモデルを 作成し,目標を明確に定めることが必要であることを理解する。 アーキテクチャモデルは,業務とシステムの構成要素を記述したモデルのことで, 組織全体として業務プロセス,業務に利用する情報,情報システムの構成, 利用する情報技術の領域のアーキテクチャ(それぞれ,ビジネスアーキテクチャ, データアーキテクチャ,アプリケーションアーキテクチャ,テクノロジアーキテクチャと 呼ばれる)を整理し,システム全体の現状と理想像を表現することを理解する。
続けて 7 個が列挙されている。
用語例 ザックマンフレームワーク,業務・システム最適化,As-isモデル,To-beモデル, 参照モデル,EAI(Enterprise Application Integration), TOGAF(The Open Group Architecture Framework)
定義が与えられている数少ない細目である
Section titled “定義が与えられている数少ない細目である”この 31 細目の多くは、対象の名前を挙げて「理解する」と書くだけである。
この細目は EA とアーキテクチャモデルの二つに定義を与えている。
| 語 | 逐語の定義部分 |
|---|---|
| EA | 組織の設計・管理手法であること |
| アーキテクチャモデル | 業務とシステムの構成要素を記述したモデルのこと |
この表はシラバスの文から定義にあたる部分を抜き出したものである。
ただし「統一的な手法」が何かは書かれていない。 「全体最適化」の判断基準も書かれていない。
領域と名称の対応が明示されている
Section titled “領域と名称の対応が明示されている”説明文は四つの領域を挙げ、括弧の中で「それぞれ,…と呼ばれる」と書く。
この「それぞれ」があるため、領域と名称の対応は一対一に読める。
複数の名称とその中身を対応づける書き方は、この細目だけのものではない。 1.(4) オーナー の説明文も、システムオーナーとデータオーナーをそれぞれ何の責任者かで書き分けている。
ただし次はいずれも書かれていない。
- 四つの領域の境目、重なりの扱い
- 四つを整理する順序
- 四つを整理する記法(各細目 1.(2)② から 1.(2)⑤ の用語例に図の名前があるが、 この細目には書かれていない)
アーキテクチャモデルが表すもの
Section titled “アーキテクチャモデルが表すもの”説明文の二文目は、アーキテクチャモデルが 「システム全体の現状と理想像を表現する」と書いている。
「現状」と「理想像」の二つが挙がる。
用語例には「As-isモデル」と「To-beモデル」があるが、 シラバスはこの二語が現状と理想像に対応するとは書いていない。
この対応を書くとそれはこのノートの創作になるため、書かない。
As-is / To-be の表記はこの細目と 1.(1)④ で同じ
Section titled “As-is / To-be の表記はこの細目と 1.(1)④ で同じ”| 細目 | 逐語 | ハイフン |
|---|---|---|
| 1.(1)② 情報システム戦略の策定手順 | 現行業務(AsIs)、業務の新全体像(ToBe) | 無し |
| 1.(1)④ 情報システム化基本計画 | To-beモデル | 有り |
| 1.(2)①(この細目) | As-isモデル、To-beモデル | 有り |
この表は同じ概念を指すとみられる語の表記を並べたものであり、 シラバスが三つを同じものだと書いているわけではない。
この細目は 31 細目のなかで唯一、As-is と To-be の両方をハイフン付きで持つ。
表記が割れている。ノートでそろえない。
EAI と TOGAF に訳語は無い
Section titled “EAI と TOGAF に訳語は無い”用語例 6・7 の括弧の中は英語だけで、日本語訳が付かない。
この 31 細目で括弧の中が英語だけの用語例は 7 語あり、 そのうち 2 語がこの細目にある。
シラバスが与えていない訳語を、このノートで補わない。
なお EAI と TOGAF は、この 31 細目でこの細目の用語例にしか現れない。
この細目で書かないこと
Section titled “この細目で書かないこと”次はいずれもこのノートの根拠に含まれていない。
- EA の導入手順、体制、期間
- 「統一的な手法」の中身、「全体最適化」の判断基準
- 四つのアーキテクチャそれぞれの内容(1.(2)② から 1.(2)⑤ の範囲)
- 四つの領域の境目、整理の順序
- 用語例 7 語それぞれの意味、使い方
- EAI・TOGAF の日本語訳
- As-isモデル と To-beモデル が現状・理想像に対応するという読み
名前から内容を推測して書くことは spec.md §8.1a に反する。