その他
電子消費者契約法は、民法のどの規定について何を定める法律か。
第一条が「消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について特定の錯誤があった場合に関し 民法の特例を定める」と述べている。第三条が、民法第九十五条第三項の規定を適用しない場合を定める形で その特例を置いている。ただし事業者が意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合などは この限りでない、というただし書が付いている。
この章の規定による権利の目的となることができない著作物として、著作権法第十三条が挙げているものは何か。
第一号が憲法その他の法令、第二号が国・地方公共団体の機関・独立行政法人・地方独立行政法人が発する 告示・訓令・通達その他これらに類するもの、第三号が裁判所の判決・決定・命令・審判および裁判に準ずる手続で 行われる行政庁の裁決・決定、第四号がこれらの翻訳物・編集物で国等が作成するもの。 「この章の規定による権利の目的となることができない」という書き方になっている。
インターネットを利用した取引で考慮すべき法律として、電子消費者契約法が民法の錯誤規定の特例を定め、特定商取引法・割賦販売法・景品表示法が購入者等や一般消費者の利益の保護を目的に掲げ、特定デジタルプラットフォーム透明化法が透明性及び公正性の向上を、資金決済法が資金決済に関するサービスの適切な実施の確保と利用者等の保護を目的としている。
シラバスの用語例が挙げる 6 法の題名・法令番号と、目的規定が挙げているもの
| 本ノートでの略称 | 題名(正式名称) | 法令番号 | 目的規定が挙げているもの |
|---|---|---|---|
| 電子消費者契約法 | 電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律 | 平成十三年法律第九十五号 | 特定の錯誤があった場合の民法の特例 |
| 特定商取引法 | 特定商取引に関する法律 | 昭和五十一年法律第五十七号 | 特定商取引を公正にし購入者等の利益を保護 |
| 特定デジタルプラットフォーム透明化法 | 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律 | 令和二年法律第三十八号 | 提供条件等の開示等による透明性・公正性の向上 |
| 割賦販売法 | 割賦販売法 | 昭和三十六年法律第百五十九号 | 取引の公正の確保、クレジットカード番号等の適切な管理 |
| 資金決済法 | 資金決済に関する法律 | 平成二十一年法律第五十九号 | 資金決済システムの安全性・効率性・利便性の向上 |
| 景品表示法 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 昭和三十七年法律第百三十四号 | 不当な景品類・表示による顧客の誘引の防止 |
錯誤に関する民法の特例 — 電子消費者契約法
Section titled “錯誤に関する民法の特例 — 電子消費者契約法”正式な題名は「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」(平成十三年法律第九十五号)である。 第一条は、この法律が「消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について特定の錯誤があった 場合に関し民法(明治二十九年法律第八十九号)の特例を定めるものとする」と述べる。
第三条は、民法第九十五条第三項の規定を適用しない場合を定める。対象になるのは、消費者の意思表示が 同条第一項第一号に掲げる錯誤に基づくもので、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして 重要なものであり、かつ次のいずれかに当たるときである。第一号が、消費者がその使用する電子計算機を用いて 送信した時に電子消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。 第二号が、消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に異なる内容の意思表示を 行う意思があったとき。
ただし書があり、事業者が申込みまたは承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合、 または消費者から当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでないとされている。
取引の公正と消費者の保護 — 特定商取引法・割賦販売法・景品表示法
Section titled “取引の公正と消費者の保護 — 特定商取引法・割賦販売法・景品表示法”特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第一条は、特定商取引を公正にし、 購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより購入者等の利益を保護することを目的とする。 同条の括弧書きが「特定商取引」の範囲を列挙しており、訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、 連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引が挙がっている。
割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)第一条第一項は、割賦販売等に係る取引の公正の確保、 購入者等が受けることのある損害の防止、およびクレジットカード番号等の適切な管理等に必要な措置を 講ずることにより、取引の健全な発達を図るとともに購入者等の利益を保護することを目的とする。 第二項は、この法律の運用にあたっては割賦販売等を行う中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければ ならないとする。
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号。通称景品表示法)第一条は、 商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、 一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、 一般消費者の利益を保護することを目的とする。保護の対象が「購入者等」ではなく「一般消費者」である点が、 特定商取引法・割賦販売法と異なる。
取引の場と決済手段 — 特定デジタルプラットフォーム透明化法・資金決済法
Section titled “取引の場と決済手段 — 特定デジタルプラットフォーム透明化法・資金決済法”特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(令和二年法律第三十八号)第一条は、 デジタルプラットフォームの果たす役割の重要性が増大している中で、 デジタルプラットフォーム提供者の自主性及び自律性に配慮しつつ、商品等提供利用者等の利益の保護を 図ることが課題となっている状況に鑑み、特定デジタルプラットフォーム提供者の指定、提供条件等の開示、 透明性及び公正性についての評価その他の措置を講ずることにより、特定デジタルプラットフォームの 透明性及び公正性の向上を図り、もって特定デジタルプラットフォームに関する公正かつ自由な競争の促進を通じて、 国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第一条は、資金決済に関するサービスの適切な実施の確保と 利用者等の保護、およびサービスの提供の促進のため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引、 電子決済手段の交換等、暗号資産の交換等、為替取引に関する分析、銀行等の間で生じた為替取引に係る 債権債務の清算について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性及び 利便性の向上に資することを目的とする。
パブリックドメインとクリエイティブコモンズ
Section titled “パブリックドメインとクリエイティブコモンズ”シラバスの用語例は「クリエイティブコモンズ」「パブリックドメイン」も挙げているが、 どちらの語も、ここで取得した条文には現れない。関係する条文としては、著作権法第十三条が 憲法その他の法令、告示・訓令・通達、裁判所の判決等について「この章の規定による権利の目的となることが できない」と定めており、第五十一条が著作権の存続期間を著作物の創作の時に始まり、 この節に別段の定めがある場合を除き著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後) 七十年を経過するまで存続するとしている。 この章の規定による権利の目的となることができない著作物を定める条と、存続期間を定める条とが、 条文上は別の条になっている。
なぜそうなっているのか
Section titled “なぜそうなっているのか”電子消費者契約法第一条は、この法律を「消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について 特定の錯誤があった場合に関し民法の特例を定めるもの」と位置づけている。第三条が民法第九十五条第三項の規定を 適用しない場合を定める形をとっていることは、この「特例」という位置づけと対応した書きぶりだと読める。
他の 5 法の第一条は、保護する対象をそれぞれ次のように書いている。特定商取引に関する法律と割賦販売法が購入者等、 不当景品類及び不当表示防止法が一般消費者、 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律が商品等提供利用者等、 資金決済に関する法律が利用者等であり、対象の呼び方が条文ごとに異なっている。
ただし、これらを個別の法律として分けた立法上の趣旨は、各法の第一条には書かれていない。