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開発プロセス,取引プロセスの標準化

JIS X 0160 と JIS X 0170 は、規格名称の上で何が違うか。

対象がソフトウェアかシステムかが違う。 JIS X 0160 の規格名称は「ソフトウェアライフサイクルプロセス」 (英語名 Systems and software engineering — Software life cycle processes)で、 JIS X 0170 の規格名称は「システム及びソフトウェア技術-システムライフサイクルプロセス」 (英語名 Systems and software engineering-System life cycle processes)である。 和名の冠「システム及びソフトウェア技術-」が付くのは X 0170 だけである。

SLCP とは何を指す語か。

IPA は「システムやソフトウェアを企画・開発・運用・廃棄する一連の過程(ライフサイクル)を 共通の言葉で整える枠組みである国際規格SLCP」と説明している。 企画・開発・運用・廃棄という一連の過程を共通の言葉で整えるための枠組み、という位置づけである。

JIS X 0160 と JIS X 0170 は、それぞれどの国際規格に対応すると記載されているか。

JIS X 0160:2021 は ISO/IEC/IEEE 12207:2017 (IDT)、 JIS X 0170:2025 は ISO/IEC IEEE 15288:2023 (IDT) と記載されている。 ソフトウェア側が 12207、システム側が 15288 である。

シラバスはソフトウェア開発や取引の各工程での作業・役割分担などの標準を理解するとして SLCP-JCF(共通フレーム)・JIS X 0160・JIS X 0170 を用語例に挙げているが、根拠が取れたのはいずれもライフサイクルプロセスの側で取引の側には及ばず、JIS X 0160 は規格名称が「ソフトウェアライフサイクルプロセス」で対応国際規格が ISO/IEC/IEEE 12207:2017 (IDT)、JIS X 0170 は規格名称が「システム及びソフトウェア技術-システムライフサイクルプロセス」で対応国際規格が ISO/IEC IEEE 15288:2023 (IDT) と記載されている。

用語例の 2 つの JIS

観点JIS X 0160JIS X 0170
版JIS X 0160:2021JIS X 0170:2025
規格名称(和)ソフトウェアライフサイクルプロセスシステム及びソフトウェア技術-システムライフサイクルプロセス
規格名称(英)Systems and software engineering — Software life cycle processesSystems and software engineering-System life cycle processes
制定1996-07-012004-06-20
改正2021-02-222025-08-20
確認2025-06-20(根拠に記載なし)
対応国際規格ISO/IEC/IEEE 12207:2017 (IDT)ISO/IEC IEEE 15288:2023 (IDT)
概要が挙げていることソフトウェア産業界が参照できる共通的な枠組みエンジニアリングの視点からのプロセスと用語。システム オブ システムズにも適用可

3 つ目の用語例 SLCP-JCF(共通フレーム)は、この表に入らない(→ ## 詳細説明)。

説明文は「ソフトウェア開発や取引の各工程での作業,役割分担などの標準を理解する」である。 用語例は「SLCP-JCF(共通フレーム)」「JIS X 0160」「JIS X 0170」の 3 つ。 説明文にも、この細目の見出し(開発プロセス,取引プロセスの標準化)にも「取引」が入っている。 ただし、用語例に挙がる 3 つと、それについて根拠が取れた資料はいずれもライフサイクルプロセスの側で、 取引の側の根拠はこのノートには無い。

JIS X 0160(ソフトウェアライフサイクルプロセス)

Section titled “JIS X 0160(ソフトウェアライフサイクルプロセス)”

規格名称は「ソフトウェアライフサイクルプロセス」。1996 年 7 月 1 日制定、2021 年 2 月 22 日改正で、 2025 年 6 月 20 日に確認されている。対応国際規格は ISO/IEC/IEEE 12207:2017 (IDT) と記載されている。

発行元が載せている概要は次のとおり。

明確に定義された用語を用いて,ソフトウェア産業界が参照できる,ソフトウェアライフサイクルプロセスの 共通的な枠組みについて規定。

概要には「明確に定義された用語」「ソフトウェア産業界が参照できる」「共通的な枠組み」と いう語が並んでいる。

JIS X 0170(システムライフサイクルプロセス)

Section titled “JIS X 0170(システムライフサイクルプロセス)”

規格名称は「システム及びソフトウェア技術-システムライフサイクルプロセス」。 2004 年 6 月 20 日制定、2025 年 8 月 20 日改正。対応国際規格は ISO/IEC IEEE 15288:2023 (IDT) と記載されている。

概要は次のとおり。

この規格は、人が作り出すシステムのライフサイクルを記述するためのプロセス記述の共通的な枠組みに ついて規定するものであり、エンジニアリングの視点から一そろいのプロセス及び関連する用語を定義している。 これらのプロセスは、対象システム、それらのシステム要素、及びシステム オブ システムズに適用することが 可能である。これらのプロセスから選定した集合を、システムのライフサイクルのステージ(段階)全体を 通じて適用することが可能である。これは、顧客満足を達成するというゴールを最終的な目標としてもつ、 対象となる全ての利害関係者の参加を通して達成される。

概要から読み取れる点をいくつか挙げると、(1) 対象システム・システム要素・システム オブ システムズの 3 つに 適用することが可能と書かれていること、(2) プロセスから選定した集合をライフサイクルのステージ全体を通じて適用することが可能と 書かれていること、 (3) 達成の手段として全ての利害関係者の参加が挙げられていること、が挙がる。

2 つの規格の中身(どんなプロセスが並んでいるか)は、このノートの根拠に含まれていないので扱わない。 押さえるのは規格番号と名称、対応する国際規格、そして概要に書かれた範囲までである。

IPA は SLCP を「システムやソフトウェアを企画・開発・運用・廃棄する一連の過程(ライフサイクル)を 共通の言葉で整える枠組みである国際規格SLCP」と説明している。 「企画・開発・運用・廃棄」という並びがライフサイクルの中身として示されている。

「共通フレーム2013」については、IPA が次のように書いている。

本書は、現行の国際規格SLCPで割愛されている「ソフトウェア固有プロセス」が解説されているため、 ソフトウェア開発を重視する場合のプロセス標準として国内では継続して参照されています。

ここから分かるのは、共通フレーム 2013 が「ソフトウェア固有プロセス」を扱っており、 それが現行の国際規格SLCPでは割愛されている、という関係である。

IPA が「国際規格SLCP」と呼ぶものが、JIS X 0160 の対応国際規格として記載されている ISO/IEC/IEEE 12207:2017 と同じものを指すかどうかは、ここで根拠にした資料からは分からない。

「SLCP-JCF」という略称の展開、共通フレームの正式名称、作成主体、制定年は、 ここで根拠にした資料からは取れていない。 シラバスが用語例に 「SLCP-JCF(共通フレーム)」と書いていることまでを押さえる。