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「通信の秘密」について、電気通信事業法第四条は誰に何を求めているか。2 つの項の違いは何か。

第一項は「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」として、 通信の秘密そのものを侵害の対象から守る形で書かれている。 第二項は「電気通信事業に従事する者」を名宛人にし、在職中に取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を 守る義務を課したうえで、「その職を退いた後においても、同様とする」として退職後にも及ぶことを明記する。

通信傍受法で傍受を行うには、条文上どんな要件が要るか。

第三条第一項柱書によると、検察官又は司法警察員が、各号のいずれかに該当する場合において、 犯罪関連通信が行われると疑うに足りる状況があり、かつ、他の方法によっては犯人を特定し、 又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるときに、 裁判官の発する傍受令状により傍受できる。 対象は電話番号等によって特定された通信手段に限られ、被疑者が契約に基づいて使用しているもの (犯人による犯罪関連通信に用いられる疑いがないと認められるものを除く) 又は犯人による犯罪関連通信に用いられると疑うに足りるものである。

ネットワークに関わる法規として、電気通信事業法第四条が電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密を侵してはならないとし、電波法第四条が無線局の開設に総務大臣の免許を要するとしたうえでただし書と各号で適用除外を置き、通信傍受法が裁判官の発する傍受令状によって行う通信の傍受の要件と手続を定め、情報流通プラットフォーム対処法が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限と発信者情報の開示を請求する権利について定めている。

4 つの法律が、それぞれ何を対象にしているか

法律条対象条文上の要点
電気通信事業法第四条第一項通信の秘密電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は侵してはならない
電気通信事業法第四条第二項電気通信事業に従事する者在職中に電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守る。退職後も同様
電波法第四条無線局の開設総務大臣の免許を受けなければならない。ただし書と各号に適用除外
通信傍受法第三条第一項犯罪捜査のための傍受裁判官の発する傍受令状により、要件を満たす場合に犯罪関連通信を傍受できる
情報流通プラットフォーム対処法第三条第一項権利を侵害された者に対する責任権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置が技術的に可能で、各号のいずれかに該当するときでなければ賠償責任を負わない(ただし書あり)
情報流通プラットフォーム対処法第三条第二項発信者に対する責任当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度で措置をとり各号のいずれかに該当するときは賠償責任を負わない

通信の秘密(電気通信事業法)

Section titled “通信の秘密(電気通信事業法)”

第四条第一項は「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」と定める。 主語が「通信の秘密」で、誰に対する禁止かを限定していない書き方になっている。 第二項は名宛人を「電気通信事業に従事する者」に限定し、在職中に電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して 知り得た他人の秘密を守る義務を課す。そのうえで「その職を退いた後においても、同様とする」と続け、 義務が在職中に限られないことを条文自体が示している。

第一項が守るのは「通信の秘密」、第二項が守るのは従事者が職務上知り得た「他人の秘密」であり、 対象の書き分けがされている点も条文を読むときの手がかりになる。

第四条柱書は「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない」としたうえで、 「ただし、次に掲げる無線局については、この限りでない」と続け、各号で適用除外を置く。 免許が原則で、除外が例外という構造である。

各号のうち第一号は「発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの」、 第四号は「第二十七条の二十一第一項の登録を受けて開設する無線局」(登録局)である。 第一号のように電波の強さを基準にした除外と、第四号のように**別の手続(登録)**を経たことによる除外が 並んでいる。適用除外は四つの号で置かれている。

第三条第一項柱書は、傍受を行うための条件を積み重ねる形で書かれている。

  1. 検察官又は司法警察員が、各号のいずれかに該当する場合であること。
  2. 犯罪関連通信(犯罪の実行、準備又は証拠隠滅等の事後措置に関する謀議、指示その他の相互連絡その他 当該犯罪の実行に関連する事項を内容とする通信)が行われると疑うに足りる状況があること。
  3. かつ、他の方法によっては犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが 著しく困難であること。
  4. 裁判官の発する傍受令状によること。

対象となる通信手段も限定されており、電話番号等によって特定された通信手段であって、被疑者が通信事業者等との間の 契約に基づいて使用しているもの(犯人による犯罪関連通信に用いられる疑いがないと認められるものを除く) 又は犯人による犯罪関連通信に用いられると疑うに足りるものに限られる。 電気通信事業法第四条が通信の秘密を守る側の規定であるのに対し、 この法律は要件と手続を法律で定めたうえで例外的に傍受を認める側の規定である。

情報流通プラットフォーム対処法

Section titled “情報流通プラットフォーム対処法”

正式な題名は特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律である (「情報流通プラットフォーム対処法」はシラバスの表記)。 第一条は、この法律が、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害等があった場合について、 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定め、あわせて、 侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図るための 大規模特定電気通信役務提供者の義務について定めるものとする、としている。

第二条第一号の「特定電気通信」は、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信をいい、 括弧書きで公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。 第四号の「特定電気通信役務提供者」は特定電気通信役務を提供する者、 第五号の「発信者」は特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体 (当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る)に情報を記録し、 又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに 限る)に情報を入力した者、 第六号の「侵害情報」は特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が 当該権利を侵害したとする情報である。

第三条第一項は、特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときに、 当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(同項ではこれを 「関係役務提供者」という)が負う責任について、「権利を侵害した情報の不特定の者に対する 送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときで なければ、賠償の責めに任じない」という形をとる。 各号は、権利が侵害されていることを知っていたとき(第一号)と、情報の流通を知っていた場合であって 権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき(第二号)である。 なお、第一項にはただし書が置かれている。

第三条第二項は逆向きで、送信防止措置を講じた結果として発信者に生じた損害について、 その措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである 場合であって各号のいずれかに該当するときは 賠償の責めに任じない、とする。第二号は、侵害情報等を示して送信防止措置の申出があった場合に、 発信者へ同意するかどうかを照会し、照会を受けた日から七日を経過しても同意しない旨の申出がなかったとき、 という具体的な日数を置いている。

シラバスの用語例は「発信者情報開示請求」を挙げており、第一条がこの権利について定める法律であることを 述べている。

電気通信事業法第一条は「電気通信事業の公共性に鑑み」という認識を先に置き、 運営を適正かつ合理的なものとするとともに公正な競争を促進することにより、 電気通信役務の円滑な提供の確保と利用者等の利益の保護を図り、もって電気通信の健全な発達及び 国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とするとしている。

電波法第一条は「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする」と、 きわめて短く目的を述べる。第四条が免許制を原則としつつ、著しく微弱な電波の無線局などを除外しているのは、 この「電波の公平且つ能率的な利用を確保すること」という目的に対応した書きぶりだと読める。

通信傍受法第一条は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害していることにかんがみ、 重大犯罪において犯人間の相互連絡等に用いられる電気通信の傍受を行わなければ事案の真相を解明することが 著しく困難な場合が増加する状況にあることを踏まえ、と 2 段構えの理由を置いたうえで、 「通信の秘密を不当に侵害することなく事案の真相の的確な解明に資するよう、その要件、手続その他必要な事項を 定めることを目的とする」と結ぶ。第三条第一項が「他の方法によっては……著しく困難であるとき」という 要件を置いているのは、この目的規定と対応していると読める(条文がそう述べているわけではない)。

情報流通プラットフォーム対処法第一条は、損害賠償責任の制限、発信者情報の開示を請求する権利、 裁判手続、送信防止措置の迅速化・透明化という定める内容を列挙する形で書かれている。