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シラバスが「GX推進法」と呼ぶ法律の題名は何か。条文に「GX」の語は出てくるか。

題名は脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号)である。 「GX」の語は題名にも第一条にも現れない。法令上の語は 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行」である。

廃棄物処理法と資源の有効な利用の促進に関する法律は、第一条が掲げる目的がどう違うか。

廃棄物処理法第一条は、廃棄物の排出を抑制し、適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分等の処理をし、 並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。 資源の有効な利用の促進に関する法律第一条は、資源の有効な利用の確保を図るとともに 廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、使用済物品等及び副産物の発生の抑制並びに再生資源及び 再生部品の利用の促進に関する所要の措置を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 出口(生活環境・公衆衛生)を見るか、資源の側(有効利用)を見るかで書き分けられている。

環境に配慮する法律として、廃棄物処理法は廃棄物の排出の抑制と適正な処理等により生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図り、資源の有効な利用の促進に関する法律は使用済物品等及び副産物の発生の抑制並びに再生資源及び再生部品の利用の促進と脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律とあいまって脱炭素化を図るための措置を、省エネ法はエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換と電気の需要の最適化その他必要な措置等を、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律は移行推進戦略の策定・移行債の発行・化石燃料採取者等に対する賦課金の徴収等をそれぞれ第一条で掲げている。

4 つの法律の第一条が掲げるもの

法律(題名)法令番号講じるとしている措置最終的に寄与する先
廃棄物の処理及び清掃に関する法律昭和四十五年法律第百三十七号排出の抑制、適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分等の処理、生活環境の清潔生活環境の保全及び公衆衛生の向上
資源の有効な利用の促進に関する法律平成三年法律第四十八号使用済物品等及び副産物の発生の抑制、再生資源及び再生部品の利用の促進、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律とあいまって脱炭素化を図るための措置国民経済の健全な発展
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律昭和五十四年法律第四十九号工場等・輸送・建築物・機械器具等についての使用の合理化と非化石エネルギーへの転換、電気の需要の最適化、その他必要な措置等国民経済の健全な発展
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律令和五年法律第三十二号移行推進戦略の策定、移行債の発行、化石燃料採取者等に対する賦課金の徴収、特定事業者への排出枠の割当てに係る負担金の徴収等国民生活の向上及び国民経済の健全な発展

第一条は「この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の 処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする」 と述べる。排出の抑制・適正な処理・清潔の 3 つを手段として並べ、 到達点として生活環境の保全と公衆衛生の向上を置く構造である。 「リサイクル」や「再生」に触れているのは、処理の一形態としての「再生」である。

資源の有効な利用の促進に関する法律

Section titled “資源の有効な利用の促進に関する法律”

第一条は長い一文だが、次の順に並んでいる。

  1. 状況の認識: 主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国において、近年の国民経済の発展に伴い 資源が大量に使用されていることにより、使用済物品等及び副産物が大量に発生し、その相当部分が廃棄されており、 かつ、再生資源及び再生部品の相当部分が利用されずに廃棄されている状況に鑑み。
  2. 目的: 資源の有効な利用の確保を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため。
  3. 手段: 使用済物品等及び副産物の発生の抑制並びに再生資源及び再生部品の利用の促進に関する 所要の措置を講じること。併せて、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律 (令和五年法律第三十二号)とあいまって、脱炭素化再生資源の有効な利用の促進等により 脱炭素化を図るための措置を講じること。
  4. 寄与する先: 国民経済の健全な発展。

この第一条が脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の題名と法令番号を引用しており、 2 つの法律が「あいまって」働く関係にあることが条文上示されている。

なお「リサイクル法」はシラバスの表記で、ここで根拠にした 4 つの法律のいずれの題名でもない。 シラバスの「リサイクル法」がどの法律を指すかは、条文からは特定できない。

第一条は、我が国で使用されるエネルギーの相当部分を化石燃料が占めていること、 非化石エネルギーの利用の必要性が増大していることその他の内外におけるエネルギーをめぐる 経済的社会的環境に応じたエネルギーの有効な利用の確保に資するため、として次の措置を挙げる。

  • 工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換に 関する所要の措置
  • 電気の需要の最適化に関する所要の措置
  • その他エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等を総合的に進めるために必要な措置等

そのうえで、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするとする。 題名にもあるとおり、この法律は使用の合理化だけでなく非化石エネルギーへの転換も対象にしている。

脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律

Section titled “脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律”

第一条は、世界的規模でエネルギーの脱炭素化に向けた取組等が進められる中で、我が国における 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を推進するため、として次のものについて定めるとする。

  • 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の策定
  • 脱炭素成長型経済構造移行債の発行
  • 化石燃料採取者等に対する賦課金の徴収及び特定事業者への排出枠の割当てに係る負担金の徴収

さらに、脱炭素成長型投資事業者への排出枠の割当てに係る措置及び脱炭素成長型経済構造移行推進機構に 支援等に関する業務を行わせるための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に 寄与することを目的とする、と結ぶ。

戦略・脱炭素成長型経済構造移行債・賦課金・負担金・機構という手段が第一条に列挙されている点がこの法律の特徴である。 シラバスの用語例が挙げる「GX推進法」の「GX」は、この法律の題名にも第一条にも現れない語である。 用語例はほかに「GX脱炭素電源法」も挙げているが、これもこの法律の題名にも第一条にも現れない。 「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」という題名の法律があることは e-Gov の政令の題名から確かめられるが、その法律本体と法律番号は取得していない。

資源の有効な利用の促進に関する法律第一条は、資源の大部分を輸入に依存していること、 使用済物品等及び副産物が大量に発生してその相当部分が廃棄されていること、 再生資源及び再生部品の相当部分が利用されずに廃棄されていることを列挙したうえで 「状況に鑑み」と続けており、立法の前提とした状況認識が条文に明記されている。

省エネ法第一条も、エネルギーの相当部分を化石燃料が占めていることと非化石エネルギーの利用の必要性が 増大していることを理由として挙げている。工場等・輸送・建築物・機械器具等という対象の広さとこの理由との関係は、条文には書かれていない。

脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律第一条は 「世界的規模でエネルギーの脱炭素化に向けた取組等が進められる中で」という認識を置いている。

廃棄物処理法第一条は、手段と目的を並べるだけで、立法の前提となった状況認識を条文には置いていない。