個人情報保護・プライバシー保護に関する法規・ガイドライン
「個人情報」に当たるための条件を、第二条第一項はどう組み立てているか。
まず「生存する個人に関する情報」であることを前提に置き、そのうえで 2 つの号のいずれかに該当することを求める。 第一号が記述等により特定の個人を識別できるもの、第二号が個人識別符号が含まれるものである。
それ単体では個人を識別できない情報でも「個人情報」になり得るのはなぜか。条文のどこにその根拠があるか。
第二条第一項第一号の括弧書き。「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することが できることとなるものを含む」と書かれており、照合による識別可能性が定義に含められている。
「要配慮個人情報」は、どの範囲を指す語か。個人情報とは別の情報か。
個人情報の一部である。第二条第三項は「〜が含まれる個人情報をいう」と定義しており、 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他の記述等が含まれる個人情報を指す。
個人情報の保護に関する法律は「個人情報」を、生存する個人に関する情報であって記述等により特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるものと定義し、個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利利益を保護することを目的とする。
第二条が定める語の関係
| 語 | 項 | 定義の骨格 | 範囲の関係 |
|---|---|---|---|
| 個人情報 | 第 1 項 | 生存する個人に関する情報で、第一号(記述等による識別)か第二号(個人識別符号)に該当するもの | この節の基点 |
| 個人識別符号 | 第 2 項 | 身体の特徴を変換した符号、または役務・商品・書類に関し利用者等ごとに異なるよう割り当てられた符号のうち政令で定めるもの | 含まれていれば個人情報(第 1 項第二号) |
| 要配慮個人情報 | 第 3 項 | 人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴などが含まれる個人情報 | 個人情報の一部 |
| 本人 | 第 4 項 | 個人情報によって識別される特定の個人 | 個人情報から定まる人 |
「個人情報」の定義(第二条第一項)
Section titled “「個人情報」の定義(第二条第一項)”第二条第一項は「個人情報」を、生存する個人に関する情報であって、次のいずれかに該当するものと定める。
第一号は、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものである。 ここでいう「記述等」は、文書・図画・電磁的記録に記載され、もしくは記録され、または音声、動作その他の方法を 用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く)を指す。
この第一号には括弧書きが付いており、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することが できることとなるものを含む」とされている。単体では個人を識別できない情報でも、容易照合性があれば 第一号に含まれることになる。
第二号は、個人識別符号が含まれるものである。
個人識別符号(第二条第二項)
Section titled “個人識別符号(第二条第二項)”第二条第二項は「個人識別符号」を、次のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち 政令で定めるものと定義する。
- 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符号であって、当該特定の個人を 識別することができるもの
- 個人に提供される役務の利用、個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、または個人に発行される カードその他の書類に記載され、もしくは電磁的方式により記録された符号であって、利用者・購入者・ 発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、記載され、または記録されることにより、 その者を識別することができるもの
どちらの号も末尾が「政令で定めるもの」で受けられており、条文だけでは具体的な符号が確定しない形になっている。
要配慮個人情報と本人(第二条第三項・第四項)
Section titled “要配慮個人情報と本人(第二条第三項・第四項)”第三項の「要配慮個人情報」は、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実 その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして 政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。定義の末尾が「個人情報をいう」であり、個人情報の外にある 別の類型ではない。
第四項は、個人情報について「本人」とは、その個人情報によって識別される特定の個人をいうと定める。
なぜそうなっているのか
Section titled “なぜそうなっているのか”第一条は、この法律の目的を述べるにあたって、保護だけを掲げていない。 「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に 資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」 と書かれており、有用性への配慮と権利利益の保護が同じ文の中に並べて置かれている。
また第一条は、この法律が定める事項として、基本理念と基本方針、国及び地方公共団体の責務、 事業者と行政機関等が遵守すべき義務、個人情報保護委員会の設置を挙げている。
第二条第一項第一号の括弧書きが照合による識別可能性を定義に含めていることも、 この目的の向きと矛盾しない読み方ができる。識別できる状態になり得るかどうかを基準に置けば、 単体では識別できない情報を切り分けて保護の外に置くことにはならないためである。ただしこの読み方は 条文が明示するものではなく、第一条の目的と第二条の定義の書きぶりからそう読めるという範囲にとどまる。