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この法律で電磁的記録による保存に代えられるのは、どんな書面か。何にでも使えるのか。

第三条第一項によると、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければ ならないとされているものであって、かつ主務省令で定めるものに限る。 この法律だけで対象が決まるのではなく、主務省令で定められたものに限られる形になっている。

この法律の「保存等」には何が含まれるか。含まれないものは何か。

第二条第十号により「保存等」は保存・作成・縦覧等・交付等の 4 つを指す。 それぞれの定義(第五号・第六号・第八号・第九号)にはただし書があり、 訴訟手続その他の裁判所における手続並びに刑事事件及び政令で定める犯則事件に関する法令の規定に基づく手続 (裁判手続等)において行うものは除かれる。第九号(交付等)には、これに加えて 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第三条第八号に掲げる申請等として行うものの除外もある。 また第一号の「民間事業者等」からは、国の機関(イ)、地方公共団体及びその機関(ロ)などが除かれている。

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等を電磁的方法により行うことができるようにするための共通する事項を定める法律で、第三条第一項が、他の法令により書面で行わなければならないとされている保存のうち主務省令で定めるものについて、書面の保存に代えて電磁的記録の保存を行うことができるとし、第二項がその保存を書面により行われたものとみなすとしている。

第二条の定義が置いている用語

号用語定義の要点
第一号民間事業者等法令の規定により書面又は電磁的記録の保存等をしなければならないとされている民間事業者その他の者。国の機関・地方公共団体及びその機関等を除く
第二号法令法律及び法律に基づく命令
第三号書面人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物
第四号電磁的記録人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録で、電子計算機による情報処理の用に供されるもの
第五号保存保存し、保管し、管理し、備え、備え置き、備え付け、又は常備すること(裁判手続等を除く)
第六号作成作成し、記載し、記録し、又は調製すること(裁判手続等を除く)
第七号署名等署名、記名、自署、連署、押印その他氏名又は名称を書面に記載すること
第八号縦覧等記録されている事項を縦覧若しくは閲覧に供し、又は謄写をさせること(裁判手続等を除く)
第九号交付等記録されている事項を交付し、若しくは提出し、又は提供すること(裁判手続等を除くほか、一定の申請等も除く)
第十号保存等保存・作成・縦覧等・交付等をいう

目的規定が置いている「共通する事項」

Section titled “目的規定が置いている「共通する事項」”

第一条は、この法律が、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法(この法律ではこれを「電磁的方法」という)により行うことができるように するための共通する事項を定めるとする。そのうえで、これにより電磁的方法による情報処理の促進を図るとともに、 書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図り、 もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする、と結ぶ。

第一条は、この法律が書面の保存等に電磁的方法を用いることについて「共通する事項」を定めるものだと書いている。

第二条の定義には、範囲を絞る仕掛けが 2 か所ある。

1 つは第一号の「民間事業者等」で、法令の規定により書面又は電磁的記録の保存等をしなければならないとされている 民間事業者その他の者をいうとしたうえで、ただし書で国の機関(イ)、地方公共団体及びその機関(ロ)、 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第三条第二号ニからチまでに掲げるもの(ハ)を除いている。 この法律が向いているのは民間事業者等の側である。

もう 1 つは、第五号(保存)・第六号(作成)・第八号(縦覧等)・第九号(交付等)に共通して置かれたただし書で、 裁判手続等において行うものが除かれる。第九号ではさらに、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律 第三条第八号に掲げる申請等として行うものも除かれる。 第十号は、これら 4 つをまとめて「保存等」と呼ぶことを定める。

なお第二号は「法令」を法律及び法律に基づく命令と定義しており、 第三条が言う「他の法令の規定」の範囲もこれによって決まる。

電磁的記録による保存と、みなしの効果

Section titled “電磁的記録による保存と、みなしの効果”

第三条第一項は、民間事業者等が、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければ ならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る)については、当該法令の規定にかかわらず、 主務省令で定めるところにより、書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができるとする。 「できる」という許容の形であり、電子化を義務づける書き方ではない。 また、対象が主務省令で定めるものに限られている点と、方法も主務省令で定めるところによる点で、 具体的な範囲と要件は省令に委ねられている。

第二項は、第一項により行われた保存について、当該保存を書面により行わなければならないとした法令の規定に 規定する書面により行われたものとみなして、当該保存に関する法令の規定を適用するとする。 このみなし規定があることで、元の法令の側を書き換えなくても電磁的記録による保存が その法令上の保存として扱われる形になっている。

なお「e-文書法」はシラバスの表記であり、この法律の題名は 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律である。

第一条は、電磁的方法による情報処理の促進とともに「書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて 国民の利便性の向上を図り」と述べ、負担の軽減を経由して利便性の向上に至るという筋道を条文に書いている。

第三条第二項が「書面により行われたものとみなして」元の法令を適用する形をとっているのも、 この「共通する事項を定める」という位置づけと対応していると読める(条文がそう述べているわけではない)。 ただし、対象を主務省令で定めるものに限ることとした理由は、これらの条文には書かれていない。

電子帳簿保存法 との違い

観点e-文書法(このノート)電子帳簿保存法
対象となる書面・帳簿法令の規定により民間事業者等が保存等をしなければならないとされている書面(法令=法律及び法律に基づく命令)国税に関する法律の規定により、帳簿は備付け及び保存を(一定の帳簿を除く)、書類は保存をしなければならないとされている国税関係帳簿書類
法律の位置づけ書面の保存等を電磁的方法で行えるようにするための**共通する事項**を定める所得税法・法人税法その他の国税に関する法律の**特例**を定める
省令の委任先主務省令財務省令
電磁的記録で行った場合の効果を定める条第三条第二項が、書面により行われたものと**みなして**法令の規定を適用するとしている第四条第一項が帳簿の備付け及び保存に、第二項・第三項が書類の保存に**代えることができる**としている