国際認証の枠組み
産業標準化法は、JIS への適合を確かめる仕組みをどう組み立てているか。
認証する側と、試験を行う側を別の章・節で置いている。 第三十条第 1 項は、製造業者が「主務大臣の登録を受けた者の認証」を受けて適合の表示を付することが できるとする。第五章第二節が「認証機関の登録」を、第六章が「製品試験等の事業」として 「試験事業者の試験所の登録」を扱う。 認証を行う者についても、試験を行う試験所についても、「登録」という語が使われている。
産業標準化法第三十条第 3 項によれば、認証は何を審査して行われるか。
2 つの審査からなる。 1 つは申請に係る鉱工業品のうち試験用のものについての製品試験により、 日本産業規格に適合するかどうかを審査すること。 もう 1 つは申請者の製造品質管理体制(製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法その他品質保持に 必要な技術的生産条件)が主務省令で定める基準に適合するかどうかを審査すること。 ただし書があり、申請に係る鉱工業品の全てについて製品試験を行うときは、 製造品質管理体制の審査を省略できる。
IAJapan は自らを何と呼び、何を対象に「認定」を行うと書いているか。
自らを「公的認定機関」と呼び、「試験所・校正機関の ISO/IEC 17025 認定などを通じて、 試験・校正データの信頼性や製品の品質を支えています」と書いている。 対象は試験所・校正機関であって、認証機関を認定するとは書かれていない。
シラバスは国際認証の枠組みの用語例として適合性評価・適合性評価機関・認定機関・認証機関・試験機関を挙げるが説明文は一文だけで定義を与えておらず、根拠として押さえられるのは産業標準化法が JIS への適合について主務大臣の登録を受けた者の認証(第三十条第一項)を置いたうえで認証機関の登録(第五章第二節)と試験事業者の試験所の登録(第六章)を別の章節に置いていること、JISEC が ISO/IEC 15408 に基づいて第三者である評価機関が評価しその評価結果を認証機関が認証する制度として説明されていること、製品評価技術基盤機構の認定センターが公的認定機関として試験所・校正機関の ISO/IEC 17025 認定などを行うと自称していることであり、認証・認定を行う機関どうしが国際的にどう接続するかについてはこのノートの根拠に記述が無い。
用語例の 5 つと、同じ語が現れる別々の制度の記述
| 用語例 | シラバスでの位置づけ | 根拠が示せること |
|---|---|---|
| 適合性評価 | 用語例(定義なし) | この語についての記述は、ここで根拠にした資料に無い |
| 適合性評価機関 | 用語例(定義なし) | この語についての記述は、ここで根拠にした資料に無い |
| 認定機関 | 用語例(定義なし) | 産業標準化法第四章は「認定産業標準作成機関」を置く(条文本体は根拠外)。IAJapan が「公的認定機関」として試験所・校正機関の ISO/IEC 17025 認定などを行うと自称している(対象は試験所・校正機関であり、認証機関を認定するとは書かれていない) |
| 認証機関 | 用語例(定義なし) | 産業標準化法第五章第二節が「認証機関の登録」を置く。JISEC では評価結果を認証機関が認証する |
| 試験機関 | 用語例(定義なし) | 産業標準化法第六章が「試験事業者の試験所の登録」を置く |
右の列に並ぶのは、産業標準化法・JISEC・IAJapan という別々の制度についての記述である
(→ ## 詳細説明)。
シラバスが与えていること
Section titled “シラバスが与えていること”説明文は「国際認証の枠組みを理解する」の一文だけで、用語例は 「適合性評価,適合性評価機関,認定機関,認証機関,試験機関」の 5 つである。 シラバスはこの 5 語に定義を与えていない。 このノートでも定義を与えず、これらの語がどんな場面で現れるかを、根拠のある制度の側から見ていく。
日本の法令に置かれている層(産業標準化法)
Section titled “日本の法令に置かれている層(産業標準化法)”JIS への適合を示す表示について、産業標準化法は次のように組み立てている。
第三十条第 1 項は、鉱工業品の製造業者が「主務大臣の登録を受けた者の認証を受けて」、 その鉱工業品や包装・容器・送り状に「日本産業規格に適合するものであることを示す主務省令で定める 方式による特別な表示を付することができる」とする。 第 2 項は輸入業者・販売業者にも同じ形を置く。 認証を行う者が主務大臣の登録を受けているという構造がここに現れている。
第 3 項は認証の中身を定める。認証は 2 つの審査からなり、1 つは試験用のものについての製品試験、 もう 1 つは製造品質管理体制が主務省令で定める基準に適合するかどうかの審査である。 「製造品質管理体制」には括弧書きの定義があり、製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法その他 品質保持に必要な技術的生産条件をいう。 ただし書により、申請に係る鉱工業品の全てについて製品試験を行うときは体制の審査を省略できる。
法律の章立てを見ると、認証を行う機関と、試験を行う試験所が別々に置かれていることが分かる。 第五章第二節が「認証機関の登録」(第三十九条〜第四十四条)を、第三節が「国内登録認証機関」を置き、 第六章「製品試験等の事業」の第五十七条に「試験事業者の試験所の登録」がある。 どちらの章にも「登録」という語が使われている。
なお、産業標準化法には第四章「認定産業標準作成機関」(第二十二条〜第二十九条)も置かれており、 第二十二条の見出しは「認定」である。この章の条文本体はこのノートの根拠に含まれていないので、 何を認定するのかは扱わない。 法律の中に「登録」とは別に「認定」という語の置かれた章があること までを押さえる。
JISEC における評価と認証
Section titled “JISEC における評価と認証”IT セキュリティの分野では、IPA が JISEC を次のように説明している。
IT関連製品のセキュリティ機能の適切性・確実性を、セキュリティ評価基準の国際標準であるISO/IEC 15408に 基づいて第三者(評価機関)が評価し、その評価結果を認証機関が認証する、わが国の制度です。
ここでも評価する主体と認証する主体が分かれている。 評価は第三者である評価機関が行い、その結果を認証機関が認証する、という 2 段になっている。
「認定」という語が使われる場面
Section titled “「認定」という語が使われる場面”製品評価技術基盤機構の認定センター(IAJapan)は、自らを次のように説明している。
公的認定機関として、試験所・校正機関のISO/IEC 17025認定などを通じて、試験・校正データの信頼性や 製品の品質を支えています。
ここに現れるのが「認定」という語で、対象は試験所・校正機関である。 IAJapan は自らを「公的認定機関」と呼び、試験所・校正機関の ISO/IEC 17025 認定などを行うと書いている。
このノートでは、「認定機関が認証機関を認定する」という一般的な説明はしない。 上の一文が述べているのは試験所・校正機関についての認定であり、 認証機関を認定するとは書かれていないためである。 「適合性評価」「適合性評価機関」の定義も、ここで根拠にした資料には含まれていない。
この細目の押さえ方
Section titled “この細目の押さえ方”認証・認定を行う機関どうしが国際的にどう接続するか(相互承認の枠組みなど)については、 ここで根拠にした資料に記述がない。 上に並べた 3 つは、産業標準化法・JISEC・IAJapan についての記述である。 それぞれが依拠する基準の側には、 ISO/IEC 15408(セキュリティ評価基準の国際標準)と ISO/IEC 17025 という番号が現れている。
用語例の 5 語について、このノートが示せるのは次の 3 つの制度上の記述だけである。 産業標準化法は認証機関の登録と試験事業者の試験所の登録を別の章に置いている。 JISEC の説明文では評価機関と認証機関が分かれている。 IAJapan は試験所・校正機関の認定を行うと自称している。