情報流通プラットフォーム対処法
第二条第一号の「特定電気通信」は、不特定の者による受信を目的とする電気通信の送信を指す。そこから除かれているものは何か。
公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信。第一号は括弧書きでこれを除いている。
第三条第一項は「賠償の責めに任じない」という形で書かれている。役務提供者が責任を負うのはどういう場合か。
送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能であり、かつ各号のいずれかに該当するとき。 第一号が権利侵害を知っていたとき、第二号が情報の流通を知っていた場合であって権利侵害を知ることができたと 認めるに足りる相当の理由があるとき。この両方が揃わなければ責任を負わない書き方になっている。
第三条第一項と第二項は、それぞれ誰に対する責任を扱っているか。
第一項は権利を侵害された者に対する責任(送信を止めなかった場合)、第二項は送信を止められた発信者に対する 責任(送信を止めた場合)。役務提供者が向き合う 2 つの方向がそれぞれ別の項に置かれている。
情報流通プラットフォーム対処法は、特定電気通信による権利侵害について、送信防止措置が技術的に可能でありかつ権利侵害を知っていた等の場合でなければ特定電気通信役務提供者は賠償の責めに任じないと定め、あわせて送信防止措置を講じた場合の発信者に対する責任も限定する。
第三条が定める 2 方向の責任の制限
| 項 | 誰に対する損害か | 共通して求められる条件 | 第一号 | 第二号 |
|---|---|---|---|---|
| 第 1 項 | 権利を侵害された者に生じた損害 | 送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能であること | 権利が侵害されていることを知っていたとき | 情報の流通を知っていた場合であって、権利侵害を知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき |
| 第 2 項 | 送信を防止された発信者に生じた損害 | 措置が送信を防止するために必要な限度で行われたこと | 権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき | 発信者への照会から七日を経過しても同意しない旨の申出がなかったとき |
定義(第二条)
Section titled “定義(第二条)”第二条第一号は「特定電気通信」を、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信と定める。 ただし括弧書きで「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く」としている。
第二号以降はこれを土台に積み上げる形になっている。特定電気通信の用に供される電気通信設備が 「特定電気通信設備」(第二号)、それを用いて提供する電気通信役務が「特定電気通信役務」(第三号)、 それを提供する者が「特定電気通信役務提供者」(第四号)である。
第五号の「発信者」は、特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録した者、 または送信装置に情報を入力した者をいう。それぞれに、記録媒体の側は「当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る」、 送信装置の側は「当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る」という限定が付いている。
第六号の「侵害情報」は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が、 当該権利を侵害したとする情報をいう。第七号以下には、侵害情報等、侵害情報送信防止措置、送信防止措置、 発信者情報、開示関係役務提供者、発信者情報開示命令、発信者情報開示命令事件、 大規模特定電気通信役務提供者の各語が置かれている。
権利を侵害された者に対する責任の制限(第三条第一項)
Section titled “権利を侵害された者に対する責任の制限(第三条第一項)”第一項は、特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときについて、 その特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(条文はこれを「関係役務提供者」と呼ぶ)は、 これによって生じた損害について、次の 2 つが揃わなければ賠償の責めに任じないと定める。
- 権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能であること
- 各号のいずれかに該当すること
各号は次のとおりである。第一号は、関係役務提供者が情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを 知っていたとき。第二号は、情報の流通を知っていた場合であって、それによって他人の権利が 侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
第一号が現に知っていた場合、第二号が知り得たと言える場合であり、いずれも役務提供者の認識に関わる要件である。
送信防止措置をとった場合の責任の制限(第三条第二項)
Section titled “送信防止措置をとった場合の責任の制限(第三条第二項)”第二項は逆向きの場面を扱う。特定電気通信役務提供者が送信を防止する措置を講じた結果、 送信を防止された情報の発信者に損害が生じた場合である。
この場合、その措置が「当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたもの」 であって、かつ次のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
第一号は、情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
第二号は、自己の権利を侵害されたとする者から侵害情報等を示して侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があり、 役務提供者がその侵害情報の発信者に対して侵害情報等を示して措置に同意するかどうかを照会したうえで、 発信者が照会を受けた日から七日を経過しても同意しない旨の申出をしなかったとき。
第二号だけが具体的な日数を条文に置いている。
なぜそうなっているのか
Section titled “なぜそうなっているのか”第一条は、この法律が定める事項として次の 4 つを挙げている。特定電気通信による情報の流通によって 権利の侵害等があった場合についての(1) 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限と (2) 発信者情報の開示を請求する権利、(3) 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に必要な事項。 あわせて(4) 侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化と実施状況の透明化を図るための 大規模特定電気通信役務提供者の義務である。
第三条の各要件をこの形にした立法上の趣旨は、取得した条文(第一条・第二条・第三条)には書かれていない。