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「官民データ」の定義には、何が含まれ、何が明示的に除かれているか。

第二条第一項は、官民データを電磁的記録に記録された情報であって、国若しくは地方公共団体又は 独立行政法人若しくはその他の事業者により、その事務又は事業の遂行に当たり、管理され、利用され、 又は提供されるものと定義する。 括弧書きで、国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになる おそれがあるものを除くとしている。「官民」の語のとおり、公的機関だけでなく事業者が扱うものも含む。

行政手続について、第十条は何をどこまで定めているか。「オンラインでなければならない」と読んでよいか。

第十条は、国が、行政機関等に係る申請・届出・処分の通知その他の手続に関し、電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信技術を利用する方法により行うことを原則とするよう、必要な措置を講ずるものとすると定める。 名宛人は国であり、措置を講ずる義務の形になっている。 条文は「原則とするよう、必要な措置を講ずるものとする」までであって、個々の手続についてオンライン以外を禁じる 書き方にはなっていない。

官民データ活用推進基本法は、電磁的記録に記録された情報のうち国・地方公共団体・独立行政法人その他の事業者がその事務又は事業の遂行に当たり管理・利用・提供するもの(国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれがあるものを除く)を「官民データ」と定義し、その適正かつ効果的な活用の推進に関し、基本理念を定め、国・地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他の施策の基本となる事項を定めることにより、施策を総合的かつ効果的に推進し、国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的とする法律である。

条と、そこで定められている内容の対応

条定めていること条文上の要点
第一条目的基本理念・責務・官民データ活用推進基本計画の策定等を定め、施策を総合的かつ効果的に推進する
第二条第一項「官民データ」の定義電磁的記録に記録された情報であって、国・地方公共団体・独立行政法人その他の事業者によりその事務又は事業の遂行に当たり管理・利用・提供されるもの。国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれがあるものは除く
第十条手続における情報通信技術の利用国は、行政機関等に係る申請・届出・処分の通知その他の手続を情報通信技術を利用する方法により行うことを原則とするよう必要な措置を講ずる
第十四条利用の機会等の格差の是正国は、地理的制約・年齢・心身の状態・経済的状況等に基づく、情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差の是正のための措置を講ずる

第一条は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の情報を適正かつ 効果的に活用することにより、急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境を より一層整備することが重要であることに鑑み、という認識を置く。 そのうえで、官民データの適正かつ効果的な活用(この法律ではこれを「官民データ活用」という)の推進に関し、 基本理念を定め、国・地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、 並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他官民データ活用の推進に関する施策の基本となる事項を 定めることを挙げる。最後に、これらにより施策を総合的かつ効果的に推進し、 もって国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的とする、と結ぶ。

「官民データ」の定義に置かれた 2 つの限定

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第二条第一項の定義は、対象を 2 つの側から絞っている。

  1. 記録の形式による限定: 電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することが できない方式で作られる記録)に記録された情報であること。紙のままの情報はこの形に当たらない。
  2. 主体と場面による限定: 国若しくは地方公共団体又は独立行政法人(独立行政法人通則法第二条第一項に 規定するもの)若しくはその他の事業者により、その事務又は事業の遂行に当たり、管理され、利用され、 又は提供されるものであること。

さらに括弧書きの除外があり、国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことに なるおそれがある情報は官民データから外れる。「電磁的記録に記録されていれば何でも官民データ」ではない点が、 この除外に表れている。

なお、デジタル社会形成基本法第二条は「デジタル社会」の定義の中で、人工知能関連技術・インターネット・ オブ・シングス活用関連技術・クラウド・コンピューティング・サービス関連技術について、 この法律の第二条第二項から第四項までを引用している。技術用語の定義がこの法律側に置かれている形である。

行政手続のオンライン利用と、格差の是正

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第十条は、国が、行政機関等(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第三条第二号の行政機関等)に 係る申請、届出、処分の通知その他の手続に関し、電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機と 当該行政機関等の手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織)を 使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことを原則とするよう、 必要な措置を講ずるものとすると定める。 条文が求めているのは国が措置を講ずることであり、その措置の内容として「原則とする」という方向が 示されている。

第十四条は、国が、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他の要因に基づく 情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差の是正を図るため、 官民データ活用を通じたサービスの開発及び提供並びに技術の開発及び普及の促進その他の必要な措置を 講ずるものとすると定める。格差を「機会」と「能力」の 2 つに分けて書いている点と、 その要因を地理的制約・年齢・心身の状態・経済的状況と具体的に列挙している点が特徴である。

第一条は「急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境をより一層整備することが 重要であることに鑑み」と書いており、立法の前提とした課題認識が条文自体に置かれている。 第一条は続けて、この法律が「基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を 明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他官民データ活用の推進に関する施策の基本となる 事項を定める」ものであると書いている。

第二条第一項が国の安全・公の秩序・公衆の安全に支障を来すおそれがある情報を定義から除いていることも、 条文の文言そのものから読み取れる。ただし、なぜ除外の範囲をこの 3 つに定めたのかという立法上の判断は、 これらの条文には書かれていない。

デジタル社会形成基本法 との違い

観点官民データ活用推進基本法(このノート)デジタル社会形成基本法
法令番号平成二十八年法律第百三号令和三年法律第三十五号
第一条が掲げる最終的な目的国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現
推進の対象官民データの適正かつ効果的な活用(官民データ活用)の推進に関する施策デジタル社会の形成に関する施策
行政組織についての定め行政組織を置く条は根拠にしていない第三十八条が内閣にデジタル庁を置くことを定める